2018年4月15日日曜日

道法さんの切り上げ剪定講習会に行きました

道法先生の切り上げ剪定は、去年、山梨大学の無料講習会で知りました。
長野県松代〈杏っ子ファームアグリ)で開かれた、1月の剪定講習は、雪の予報に怖気づいて参加をキャンセルしましたが、今回は気候もよくなり、12日の晩に前泊り、そして13日の座学、ブドウ苗の植付実習、接ぎ木のやり方指導に参加することができました。

道法スタイルは、徒長枝を活かす新しい果樹剪定の技法です。それは、これまでの栽培技術というものが、樹勢を抑えて、どう人の都合に合わせるかを主眼にしていたのに対し、植物の生理を活かすことで、健康で美味しい実を沢山収穫しようというものです。
従来のやり方では、木を弱らせるから、肥料が必要で、農薬が不可欠、手間もかかることになる。道法スタイルなら、肥料なし、農薬も原則不使用(どうしても必要な時もあり、無農薬宣言はしない)でできる。

従来の開帳型剪定から切り上げ剪定に切り替えたアンズ?の木。徒長枝が気持ちよく空に向かって伸びています。









下の従来やりかたで剪定されただろうと思われるものと比べてみると、その自然さが清々しいですね。

これが、ブドウ苗の植付圃場です。

元リンゴ畑で、放棄されていた所を譲り受けて整理し、支柱はリンゴのものをそのまま利用しますとのこと。竹が差してある所に苗を植えます。この竹が、道法スタイルの真髄なんです。

苗は、芽と芽の間で切って、根元から45㎝位の長さにする。根はスコップの長さ30㎝位の位置で切りそろえる。
そして、根は、束にして麻紐で縛ります。根元と、中ほどの2か所。根元はよりきつく、中はより柔らかに。これが道法スタイル。
水に浸けた根は、乾かさないようにビニール袋等に入れて持っていく。

                       
植付はいたって簡単。スコップを踏み込み、押し開いて空隙を作ったら、根を縛った苗を押し差し、根が隠れる位置まで入れます。後は、土を被せてから、水遣りをします。水が浸透する時に根が真っ直ぐに土に沈み込み、土と活着するように、十分に土中まで流し込ます。この時、ホースの先に塩ビ管を付けて、それを四方から土中に突っ込みながらやるなどの手立ても。



さて、この長い竹竿は??

この長い竿は、苗を縛って、真っ直ぐ垂直に育てるためのもの。1年で5~6m伸びたものを、翌年、腰の位置で倒し誘引します。苗は5m間隔で植えてあるので、苗の成長を見ながら4~5mの位置で、先の部分は切ります。芽は、これも芽の育ちを見ながら、1,4,7,…。または、1,3,5,…で間引いて、結果枝にします。
結果枝は、常に同一方向に添わせ、枝の勢いを見ながら、順次、新しい枝に入れ替えて行くことになります。
 

1年間は保水と防草のために黒マルチをする方が良いとのこと。マルチの幅は写真では1mですが、2mあった方がよい。苗を植えた後に、支柱等があってもご覧の様にマルチは貼れます。それと、最初だけは、農薬(名前は失念)を根元にスプーン1杯ほど掛けることが必要になります。

 



























苗木は竹の支柱にしっかり縛ります。なぜ縛ると、1年で6mにも成長するのか。横に誘引した後、そこからなぜ上に結果枝が伸びるのか。それは植物ホルモンの作用にあることを、ペットボトルの水の位置を示して説明されました。植物の生長には、オーキシン、ジベレリン、サイトカインという植物ホルモンが関係しているいて、ペットボトルを縦にすれば抑制因子は下になり、上へ上と生長する。横にすると抑制因子は枝の下側が濃くなるので、上に芽を出す。どうもそういうことの様ですが、…。この辺り、もっと勉強したいです。


接ぎ木の指導もありましたが、今の自分は、まだその域ではなく、理解が及びませんでした。要点は、穂木はより薄く切りそぐこと。台木は、血管(道管)の位置まで割き、血管同士を合わせてしっかりテープを巻くこと。テープは伸縮性のあるものが良く、特に台木の切り口は雨が侵入しないように念入りに覆うこと、等がポイントでしょうか。


まだまだ、前泊の晩の話、座学の時の質疑、等々有益な情報はたくさんありました。何より、道法先生のオープンで、気さくな人柄、そのユーモアには魅せられました。

そして、真っ直ぐ縛って垂直に育てるという道法スタイルは、果樹に限らず、果菜類全般、根菜、葉物にも応用可能ということなので、トマト、ナス、ピーマンに限らず、ニンニク、ジャガイモ、カブ等でも試してみようと考えています。
野良里のホームページもご覧ください。