2019年2月8日金曜日

道法スタイル自然栽培セミナー@北杜

願っても叶わないような幸運で、何と道法スタイルの講習会を野良里の圃場を使って開くことができました。管理不行き届きもいいところで、とても講習会の会場に使えるような状態ではないのですが、恥をかかなければと覚悟しました。ご参加いただいた皆様には、あまり参考にならなかったかも知れません。せめてもの償いとして、道法先生の剪定指導の詳細を、自分で理解できた限りにおいて、ご報告いたします。

講習会の開始です。まずは穴山の梅林にてウメの剪定を教えていただきました。

枝先が上を向いていることがポイント

現状にひどさにあきれているところでしょうか? 木の状態は悪くないとも。

道法スタイルの切上げ剪定では、真っ直ぐ上に伸びた徒長枝を大事にします。


下向き、横向きの枝は枯れて、上向きの枝が育つのが自然。
だから、切り上げ剪定では、枝の真下に立ち、下、下、右、左…と、剪定していく。

手付かずの果樹園を剪定するときの大まかな流れは、荒砥、中砥、仕上砥と考える。
荒砥では、隣の木と枝が重ならないように、大枝を切り落とす。
中砥では、枝の分枝が、基本は2本になるように、中枝を切り落とす。
仕上砥では、各枝の下3分の1の小枝を払い、先の3分の1の枝を1~2本に整理する。

先ずは荒砥。大枝の切場所は、上向きの元気な枝が生えているところを順に下から探していって、何処で切れば隣と重ならないようになるかを見極める。その枝より先を、上向きの枝の方向に添って、先を残さずに切る。

 


混みあっている場合は、間の弱い木を根元から切って間引いて行くが、今年は取りあえず残したいという場合は、縮伐をする。まあ、徹底的に横枝を剪定し、全体に細く立ち上がった状態にする。





右側の斜め下に伸びた枝は切らないのかと質問したら、そっちは空地で他の木と重ならないから切る必要なしとの答えでした。

枝を切る時のポイント。普通は切り口を小さくするということで、切る枝に直角に切るように指導される。これだと切り口に保護剤を塗ることが必要になる。

そうでなくて、幹に添って切ると、確かに切り口は楕円になって面積を広くなるが、ホルモンがスムーズに流れるので、切り口は直ぐに塞がり、保護剤など塗る必要がなくなる。

このとき、幹の木肌が捲れて芯が剥き出しになっている箇所について、これは病気とか問題ないのですかとの質問がありました。周りの樹皮(道管)が健全であれば、次第に木肌を覆うようになるので問題ないとのことでした。


ここからは本格剪定。隣と重ならないように枝を切っていきます。
三脚の開き加減にも注目。傾斜地では、三脚は広めに開いて使うとよいとのこと。

ぐるっと一回りしながら、荒砥の剪定をしていきます。




隣の木の枝も、重ならない位置を見つけて剪定します。

ここからは中砥になります。
車座になっている箇所、ここを2本もしくは3本に整理します。




ここからは仕上げ砥の段階でしょうか?
真っ直ぐにすくっと伸びた枝に一つひとつについて整理していきます。

整理の仕方を、剪定して落とした枝を使って説明してくれました。
まず下三分の一の脇の小枝は払う。
中の枝に実を着ける。

枝先も整理して、今年しっかり伸びるようにする。

これで一応、剪定の見本が完成です。上にすっと伸びた枝、これがリーダーになって、次の世代を作って行く、そういう展開まで見通して剪定するんですね。


その他、いろいろ高等技術も教えてもらいました。
例えば、ここに新しい枝を出したいという場合は、その上の位置に横に切れ込みを入れる。そうするとホルモンの流れが遮られ、枝芽ができるということです。

それ専用のハサミも紹介されました。

下の写真は、根元に近い位置から出てきた若い枝を、将来、木を更新することを視野に、より強く育てる剪定です。4~50㎝の所で切り、途中に切れ込みを入れ、より強い枝を出させるのです。

これは横に伸びすぎた大枝を更新する時のやり方。途中に上向きに出でいる若い枝を、同じように5~60㎝に切り、途中に切れ込みを入れます。そこから更に元気な若い枝を出し、将来は古くなった横枝を落とすことになります。


さて次はイチジクです。ヌアールドカロンという種類が1本だけですが、これが小粒ですがほんとに甘くて、道の駅では直ぐに売り切れになります。これを今年は5本位増やそうと思っているのですが、まずは現在の一本を剪定してもらいました。自分ではこれまで全く剪定していません。

剪定の基本は、下向き、横向きの枝を切る、ですが、かなり横に伸びた枝も残しています。そして残した横枝を支えを入れて、なるべく上向きにしています。
 

これは、梅と違って、イチジクは今年伸びた枝に実を着けるからとの説明でした。木肌の明るい元気な横枝は残し、そこから今年徒長枝を伸ばして実を取るということですね。それなので、剪定の目安は、枯れた枝、古い枝を整理するというのが主になります。そう理解しました。「刈れているかどうかはどう判断するのですか?」とド素人の質問をしてしまいましたが、木肌の色で分かるじゃないかとのことでした。白くて艶があるか、黒ずんで張りがないかですね。


若い元気な枝、去年枝を伸ばして実を成らせた枝を整理するときは、下、右、左向きを整理し、上向きを残す原則は同じです。


芯食い虫が入っている箇所も指摘されました。

 剪定後の姿がこれです。随分とすっきりしました。背丈も自然と低くなっているので、実が採り易くなるでしょうね。

それから大事なことは、剪定が上手くいくと、しっかりとした枝が生えて実を着ける。イチジクは、今年伸びた枝に実を着けるのが基本だが、その枝がしっかり育てば、次の年にも夏果が着くようになる。夏果は貴重で市場性が高いとのこと。期待が膨らみます。下の写真は後日撮り直したもの。横に張り出した枝の支柱は、当日、参加者の一人が、その場で剪定された枝を使って即席で作ってくれたものです。

次は、昼食をとったベジモアガーデンのブルーベリーです。全体的に株の間隔が狭いので、隣と枝がかさならないように、いずれは間引いていく必要があるとのこと。とりあえず、間に挟まっている育ちの良くない株を縮伐しました。



 ここから本格剪定。まずはひこばえを整理します。

 下向き、横向きを枝を剪定して行きます。


こうして整理していくと、木肌のきれいですっくりと上に伸びた枝が揃ってきます。



 この後、野良里の畑のブルーベリー、ブラックベリー、そしてブドウの剪定指導、栽培指導をしていただいたのですが、すでにスマフォーの電池切れで映像はとれませんでした。以下は全て、後日撮った写真です。

野良里の畑のブルーベリーです。道法先生に剪定してもらったものです。ブルーベリーは去年も自分なりに道法スタイルで剪定しています。元気な枝ができている、唯一及第点をもらいました。剪定によって、真っ直ぐ上に伸び枝が揃いました。枝の色も若い色に揃っています。ブルーベリーは、ことし実を着けた枝から伸びた枝に葉を茂らせ、それが来年花を付けるので、下向きなった結果枝を剪定することで、若い枝に更新されていく。


摘蕾、摘花、摘果について質問したのですが、まず摘蕾は百害あって一利なしとのこと。蕾を付ける時期は、ホルモンの状態がそうなっているので、蕾を取ると、また蕾を付けようとして無駄にエネルギーを使ってしまう。摘花はやってもいいが、その手間をかける必要はない。花は自然に間引かれるし、実は順々に熟したものから収穫するのだから。

ブラックベリーについては、枯れた枝が多いといわれました。ブドウを植えたところにあったものを、別の所に仮植えし、一昨年今の場所に植え直しています。その後は剪定らしきものしていませんでした。
そんなことで、剪定というかまずは枯れた枝は根元から整理します。ブラックベリーは実を着けた枝は枯れると考えていいですかね。それだけで随分すっきりします。残った枝は、道法スタイルで、すっきり上に伸びた元気のいいものを残すように、余分な枝を払って行く。(このあたりは、自分の解釈です。)


剪定できたら、両脇に棒を通してハサミ込むで、垣根仕立てにして行くが、はじめは1株づつ紐で縛るのでもよい。

最後が、問題のブドウです。富士の夢という山葡萄(行者の水)とメルロー種を志村葡萄研究所で交配したもので、糖度、色素が濃いワイン用のブドウです。これでバルサミコ酢を作ろうと夢は描いたものの、藪を払って植付けるまでが精一杯で、支柱もせずに3年、今年4年目になってしまったものです。




先生の処方は、まず元気そうなツルを3~4本残し、それを5~60㎝の所で揃える。これを紐で縛って様子を見る。葉が着いて来たら、その中で一番元気なもの一本を、5~6mの竹竿を立ててそれに縛っていく。うまく行けばこれが1年で竿の先まで伸びる。
植えた時は、畝間2.2m、株間2mで、6m間隔に支柱を立ててワイヤーを張る計画でした。先生の処方では、良さそうなものを残して、6m間隔にして行けばよい。余ったものは植え拡げるなり、欲しい人にあげてもよい。植替え自体は、直径30㎝位に掘り出せばよく、そんなに大変ではない。これでなんとかなりそうです。頑張ってみます。
参加されていた神谷さんからは、虫食いのものもある、まず草刈りをしないととの指摘もありました。やることは一杯あります…。

この後、ベジモアガーデンに戻って、スライドを見ながらの座学になりました。内容は、また別にまとめられたらと思います。できるかなあ?

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